ORIちゃんの地球の潜り方

その27 =自然の逆襲(2)−いよいよ本格化?=


 かつて(2003年)当コラムのその8で、SARS等の伝染病の蔓延を”自然の逆襲”として取り上げたが、その後も今年(2007年)は宮崎と岡山で鳥インフルエンザが発生した。今年の東京は、初雪より前に春一番がふいてしまった。
 2003年以降の異常気象を思い出してみると、米国ではニューオリンズ大洪水、日本では宮古島で風速75m/sを記録し(2003年台風14号)発電用風車が倒壊、竜巻被害の発生、”爆弾低気圧”の発生等々がある。
 地球温暖化問題についても、研究者達は「人間の活動が原因」とほぼ断定したように見受けられる。こうなってくると、”自然の逆襲”もいよいよ本格化してきたか、と思う今日この頃である。

 しかしながら、一方では地球温暖化説に異論を唱える研究者もおり、南極大陸ではここ数十年で寒冷化した地域がかなりあるのだそうだ。
 また、地球がこれまで繰り返してきた、温暖−寒冷のサイクルからすると、今は寒冷化(つまり氷河期)に向かっていることが分かりつつあるようだ。

 ここでは、”自然の逆襲”が本格化すると、我々ダイバーにどんな影響が出てくるのか、当たり前すぎることばかりだが改めて確認したい。
 上述のように、地球温暖化に異論があるようだが、ここでは地球温暖化の影響が今後は顕著に出てくることとした。まとまりのない話になるが、この点はご容赦頂きたい。

1.地球温暖化による海水面の上昇
 世界で一番最初に海水に没するのはツバルと言われているが、我々ダイバーにとってなじみがあるところで水没の危機にあるのはモルディブやマーシャル諸島であろう。
 これらの国々が水没しても、「全部水上コテージにすればいいじゃん」と思う人がいるかもしれないが、仮に水上コテージを建てたとしても、そこへ行けなければ意味がない。つまり、空港がないと行けない訳だ。果たして、土地が水没するところに空港だけ嵩上げして維持するだろうか。
(えっ?水上機で行けばいいだろうって?そりゃそうかもしれないが・・・)

2.海岸線の後退
 陸地が水面に没しなくても、海水面が上がれば海岸線が後退する。今はカレンダー等を飾っているきれいなビーチがなくなってしまう恐れが大きいのだ。
(えっ!ダイバーは海の中を見るからビーチは関係ないよって?そんなこと言ってられないのだ!)


3.海水の酸性化
 「貝が溶ける・・・」という記事の見出しを憶えている人がおられるかと思う。
 これは、化石燃料の使用により大気中の二酸化炭素濃度が上がれば、その分海水が吸収する二酸化炭素の量が増え、海水が酸性化するというものだ。(”酸性化”であって、酸性、つまりpHが7未満になるわけではない。)
 酸性化した海水では貝類や珊瑚が溶ける等々、劣化することは明らかなようである。そうなると、海中景観はがらりと変わり、見るに耐えない景観が増え、潜る楽しみがなくなってしまう。
 あと5年、10年で影響が出てくるものではないようだが、今世紀半ばにははっきりと影響が出てくるらしい。

4.大型台風・爆弾低気圧
 地球温暖化の進行により台風の数は減るが、規模は大型化するという予測がある。また、最近は季節はずれの嵐が結構多いような気がする。
 夏場の台風は別として、季節はずれの嵐、いわゆる”爆弾低気圧”が多くなると、交通機関のダイヤが乱れる頻度が高くなる。そうすると、目的地までたどりつけない、旅行を断念せざるを得ない場合がこれまでより高くなる、ということになる。当コラムのその21”週末台風”と同じようなことがおきる頻度が高くなる。
 なお、”爆弾低気圧”が地震を引き起こすという説を唱える研究者もいるようだ。


 この他、地球温暖化とは違うが、かつて少し騒がれていたものにポールシフトがある。
地球の地軸は、駒が回るときにゆっくりと軸がぶれるように、長い周期でゆっくりゆっくりとぶれている。
 ポールシフトには、地軸移動と極移動の2つのタイプがあるが、これらが世界規模の大きな気候変動や天災を起こしてきたこともわかってきつつあるようだ。
 もしポールシフトにより世界規模の大きな災害が起きたら、仮に生き延びても自然環境はがらりと変わるだろうから、ダイビングどころではないだろう。筆者はこれも怖い。でも、これは防げない。

 地球温暖化は嘘か真か、それとも別の形の気候変動が今後顕著になるのか、どうなるのか、よくわからない。(冒頭と矛盾するがこれは勘弁!)
 そんな時でも、アル・ゴア米国前副大統領がテレビ番組で話していた「皆が最善をつくせば、きっと解決できる」に賭けようではないか。


 以上


文責:折原 俊哉(会員)

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