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地球の潜り方

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その1 大型荷物(1)

 ダイバー諸氏は,どこかへ潜りに行くときに荷物はどうされるだろうか?
 筆者は東京在住のため、飛行機利用の場合国内なら羽田空港、海外なら殆どの場合成田空港を利用する。東京に限らず関東在住のダイバー諸氏は,これら空港までの荷物運搬はどうされているだろうか?
 宅配便(ABC、QL、NPS)で空港まで送る方もいれば,車で空港まで行く方、鉄道・リムジンバス利用で荷物を持って歩く方等さまざまだろう。
 これらのうち、場所によって事情は異なるが、最も安価なのは鉄道利用で荷物を持って歩く場合、それもJRのNEXや京成スカイライナーといった優等列車ではなく、一般列車であるJRの快速や京成の特急を利用する場合だろう。仮にリムジンバスや、NEX、スカイライナーを利用する場合でも、これらの停留所・停車駅まで徒歩で行けるのではない限り,まず最寄り駅から普通の通勤列車を使う方が多いだろう。
 この安価でかつ時間も確実な手段は、ダイバー諸氏にとって受難の時間になることも多い。これはダイバー諸氏に限らず、長期旅行や業務出張等でトランクを使う方、スキーに行く方にとっても同様だろう。迷惑そうに睨まれたり、「邪魔だ!」等と罵声を浴びせられたことがある方もいらっしゃるのではないだろうか。
 だからといって、皆が宅配便を使えるわけではない。NEXやスカイライナーは満席の場合もあり得る。費用を節約したい方や、業務都合等でどうしても出発前日の夜にならないと荷造りが出来ない方もいらっしゃるはずである。
 現時点で、鉄道事業者は「大型手荷物持ち込み禁止」とは言っていない。従って、ダイバー諸氏を含む,大型手荷物携行者は、列車(=公共の場所)には、他の乗客の迷惑にならないように留意の上、”正々堂々と”乗車できる。
 しかしながら、普通の通勤列車にNEXやスカイライナーのような荷物置き場を設けることは難しいだろう。一人でも多くの客を乗せたい事業者の方針と相反する内容であるし、場合によっては車両運用に制限が加わることにもなるからだ。
 そうは言っても、”バリアフリー推進”の各種方策の下、駅のスロープやエレベーター設置も結構進んできたし、車両内の車椅子スペース設置も結構進んできた。車椅子利用者は以前よりは楽に移動出来るようになった。
 では大型手荷物はどうなるのだろうと思っていたら、最近になって車椅子スペースとは別の”フリースペース”なるものを設置した車両を登場させた事業者がある。この”フリースペース”は,単に座席が無いだけで、その目的を手荷物置き場・ベビーカー用としている。つまり,ここに”行儀良く”荷物を置き、他の乗客の迷惑にならないようにすればよいわけである。
 「特定場所に押し込むのは差別」、「座席数を減らすとはとんでもない」と反対する方もいらっしゃるかと思うが、限られた条件下で顧客要求・社会要求を何とか取り込もうとしている点では前進したと言える。
 そこで、もう一歩進めて,鉄道事業者各社は、現在の車椅子スペースに利用の優先順位を設けて明示してはどうだろうか。”最優先は車椅子、次に優先はベビーカー、車椅子とベビーカー共にない場合は大型手荷物”とするのが妥当だろう。実際にはかなり実行されていると思われるが,ここで改めて明示してはどうだろうか。要は限られた公共の場所を皆で効率よく気持ちよく使いましょうということである。
 具体的には、車両に追加でステッカーを貼り、駅のポスターやWEBサイトで利用上の注意を告知すればよい。費用もさほどかからない。車両の運用制限も恐らく生じない。(余談であるが,新幹線や在来線特急には大型手荷物置き場が充分でないものが多い。これから外国人観光客を増やそうというときに気になるが、本稿ならびに本サイトの主旨から大きく外れるので省略する。)
 さて、やっとのことで(?)空港まで到着したところで、大型手荷物の受難はここで終わりではない。国、航空会社によって、荷物破損時の対応や空港の荷扱いに差があるからである。これらについては別の機会としたい。

文責:折原 俊哉(会員)

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