地球の潜り方
その11 =ダイバーに優しい飛行機=
ダイバー各位御承知の通り、ダイビング終了後に時間を取らずに高地へ上ることや飛行機搭乗は禁止である。筆者がCカードを取得した当時(1992年)は、「ダイビング終了後最低6時間は飛行機搭乗禁止」と習った。現在はどうであるかわからないが、少なくともこれより短くなっていることはないであろう。
最近の記事を読むと、この時間はますます延びる傾向にあるようで、ある雑誌で「長いツアーの場合は搭乗まで48時間はとった方がよい」「長いツアーの場合は中1日ダイビングを行わない日を設けよう」といった記事を見た記憶がある。部分的には実践している方も多いと思われるが、ハッピーマンデー法施行で有給休暇取得率が落ちた日本社会に生きる我々にとっては、同じ本数潜るのに日数が余計にかかることになるので、ある種”嫌な話”である。(でも安全には代えられない)
国内ツアー(沖縄方面)や近距離海外ツアーを見てみると、ダイビング終了から飛行機搭乗まで16~20時間、遠距離海外ツアーなら24時間以上としている場合が多いようである。飛行機の機内の空気圧は地上よりも低いので、搭乗時には残留窒素の影響を無くしておくべきであり、当然の処置である。
現在就航中の旅客機は、高々度巡航時の機内の空気圧は高度約2400m相当(これを「機内高度」と言う)である。飛行機搭乗の際にはダイブコンピューターの画面表示がどうなるか一度見てみるとよい。メーカーによって異なると思うが、少なくとも巡航中は”高地表示”が点灯すると思う。
「もし飛行機の機内の空気圧が地上と同じに保てたら、ダイビング終了直後に搭乗できるのに・・・」と思っている方も多いと思われるが、現時点では相当に困難なようである。しかし、早ければあと数年後に、機内高度が現在の旅客機より低くなる(地上の空気圧に近くなる)旅客機が登場する。先頃全日空が世界で最初に発注したボーイング7E7”ドリームライナー”がそれである。この旅客機の就航により、少なくとも現在よりは減圧症発症の可能性をある程度は抑制できると思われる。言ってみれば”ダイバーに優しい飛行機”である。
現在の計画では、ボーイング7E7の機内高度はこれまでの約2400mから約1800mになる。機内湿度もこれまでの10%以下から20~30%程度に引き上げられる。肌荒れが気になる方にとっては朗報であるし、フライト症候群(エコノミークラス症候群)の発症抑制にもなるだろう。
その他にも、現在の旅客機より窓が大きくなり、客室内照明もLEDを採用等々、新技術が盛り込まれる。(詳細は本サイトの主旨から外れるので省略する。)
ボーイング7E7の就航予定は今のところ2008年頃である。前述のように、全日空が世界で最初に発注し正式が開発が始まった。しかも発注数は国内線用・国際線用合計で50機と大量である。この機体に恐らく世界で最も早く乗ることが出来る我々日本人は幸福かもしれない。
以上
文責:折原 俊哉(会員)