地球の潜り方
その21 =週末台風=
今年(2005年)の台風の時期も終わり、いよいよ冬である。
毎年のことだが、9月から10月にかけて、特に沖縄方面へ出かける方にとっては、台風情報は非常に気になるものである。
それにしても、何故か台風は休日か週末に日本に近づいてくることが多い。筆者も週末に天気予報を見ながら、「あーあ、今沖縄に行っている人は潜れないだろうし場合によっては予定日に帰ってこれないかもしれないし、散々だなー。お疲れさん。」などと思っているが、自分だってその当事者になることもあるのだ。その時だけは、「恨みでもあるのかー!」と思うのである。筆者の知人で「遊びに行かずに仕事しろ!ということだよ・・・」と言っていた人がいるが、台風にそのような意志があるとは聞いたことがないので、偶然なのだろう。(”偶然”が積み重なると”必然”になるのだが・・・)
この場を借りて、筆者の週末台風絡みの経験を1つ紹介しよう。
1999年9月のことであるが、筆者は秋分の日を入れた4連休を作り久米島に行くことにした。旅行会社への代金の払い込みも終了し、後は出発日を待つだけとなったのだが、出発日近くになり台風が沖縄本島地方に接近し、出発当日の沖縄方面行きの飛行機は欠航が予想された。
出発前日の夜になっても旅行会社からは何の連絡もない。久米島のダイビングサービスに電話をすると「今船を陸に揚げたところです」という。どうやらツアーが中止になりそうだが、ここで旅行会社に「行かない」と連絡を入れてしまうと、自らの意志で旅行を中止したことになり、莫大なキャンセル料が発生してしまう。よって、仕方なく翌日早朝羽田空港まで行くことにした。(当時は久米島直行便は早朝発だったため、羽田空港集合時間は朝6時前であった。今思えば、台風接近時のツアー催行可否の判断はどの時点で行いどのように連絡するのか、もう少し細かく確認しておけばよかった。)
翌早朝に羽田空港の団体カウンターに行くと、(天気からして当たり前だが)係員女史は「本日は沖縄方面行きは全て欠航です。場合によっては明日の出発も出来ないかもしれません。その場合でも帰着日は変更出来ませんが旅行を続けますか、中止されますか?」と言う。そんな状態では続けるわけないので「中止します」と答えると、「では全額払い戻し致します。払い戻しは申し込んだ旅行会社で受けて下さい。」と言われた。何かバカバカしいやりとりのような気もするのだが、これが旅行継続・中止の意思確認の手順なのだろう。
結局この年に久米島へ行くことは出来ず、それから1年後の2000年9月に行くことが出来たのだが、ここでもまた台風にたたられたのであった。
この時は土曜日曜を含む5日間の旅程であったが、出発時点で沖縄東方に2つの台風があり、2つとも沖縄方向に向かってきていた。久米島へ到着してダイビングサービスに電話を入れると、「明日は船が出せるかどうか分かりません。明日朝に改めて連絡します。」と言う。翌日は何とか船が出せたのであるが、海はかなりうねりがあったので潜水可能なポイントは限られた。はての浜に上陸など出来るはずもなく、トンバラに行けるわけでもなく、台風接近に備えて毎日午後に船を陸に揚げていたので、午前中に2ダイブが限度であった。結局これを3日間繰り返したのであった。
台風は久米島滞在中に1個が夜中に通過し(おかげでダイビングが中止になる日はなかったが)、2個目は帰着日には沖縄にかなり接近してきた。帰着日の久米島発便があと数時間遅かったら欠航になっていたので、かなりヒヤヒヤしたのであった。
今後も”週末台風”は続くだろうし、それでもめげずに皆沖縄方面に潜りに行くだろうし、欠航、払い戻し、旅行会社とツアー申込者の我慢比べ、それにまつわるトラブル、怒鳴りあいは今後も続くのである。
以上、皆さんも台風にめげず潜りましょう。
おわり
文責:折原 俊哉(会員)