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地球の潜り方

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その24 =誤操作防止・標準化とバリアフリー設計=

 我々が日常利用する交通機関では、交通バリアフリー法の施行により、駅のエレベーター設置や乗り合いバスでのノンステップ導入促進、視覚障害者用誘導ブロックの設置などが、以前よりもかなり整備されてきた。

 ここで一つ考えてみたい。多くのダイバーは体に障害を持っていない方(健常者)と思うが、果たしてどんな場面でもバリアフリー設計を考慮しなくてもよいのだろうか。
 これは何もボートに金のかかる電動ステップ(電動ラダー)を設けることや、ビーチのエントリー・エキジットポイントに手摺を設けることを促進しようというのではない。水中での体の動作に関する部分で、バリアフリー設計を考慮する必要は全くないのかということである。
 例えば水中での会話はどうか。聾唖の方は、そうでない人よりはるかに容易に会話が出来る。健常者にとっては逆にハンディキャップであると見ることも出来る。(これについては「その5 手話」にも書いているので参照されたい。)
 もし、視界不良時に素早くBCDへの吸気あるいは排気を行わなければならない場合はどうするか。インフレーターをたぐり寄せればよいが、極度の視界不良の場合や、仮にナイトダイブでライトが消えてしまった状態では本当にたぐり寄せないとゲージも何も見えない。(筆者は経験有り)これはある種視覚障害に似た状態である。このような状態でも誤操作を極力防止し確実な操作が出来るような設計が求められることはないのだろうか。日常生活の中で言えば、乗用車のペダル配置などはどの国・どのメーカーでもほぼ同一ではないか。だからとっさの場合でも操作を間違える可能性は低い。(アクセルとブレーキの踏み間違いが時たまあるけど)
 乗用車でレンタカーがあるのと同じように、ダイビング機材でもレンタルが存在するのだ。これと同様のことをBCDに求める必要は全くないのだろうか。

 そこで、メーカー各社のBCDを見てみると、吸気ボタン、排気ボタン共に各社各様で工夫されているが、統一基準らしきものはないようである。(もしあったらごめんなさい)
 インフレーターの先端に吸気ボタンと排気ボタンが配置されているだけで充分標準化されている、とする見方も出来るが、ここではそれでは不充分な事があると仮定し、筆者なりに標準化する場合を、ダイバーではない視点で考えてみた。

1.吸気ボタンと排気ボタンの色を統一する。吸気と排気で色を変える
 採用している会社もあるが、色は各社まちまちのようである。色を統一するというのは陸上ではよいかもしれないが、水中ではだんだん色がわからなくなってくるので、あまり効果的でないかもしれない。陸上での見た目のデザインの自由度確保のためには規定しない方がよいかもしれない。

2.ボタンの形をなるべく統一する。吸気ボタンと排気ボタンで形を変える。
 SCUBA PROのインフレーターの場合、吸気ボタンは円形、排気ボタンは四角形のものがある。また、SASの場合は吸気ボタンも排気ボタンも円形で同じ大きさのようだが、吸気はボタン表面を凸面に、排気ボタンは凹面にしている。
 形を変えるのは最も効果的と思われるものの一つである。なお、ボタン凹凸を付ける場合は、どの程度の凹凸にするかも考える必要があろう。
 ただ、ボタンの形を統一してしまうとこれまたデザインの自由度確保が難しくなる。これも現実的ではないかもしれない。

 
 
 

3.吸気ボタンと排気ボタンで大きさを変える。
 例えば、吸気ボタンより排気ボタンを大きくする。(現状でもそうしているメーカーはある様子)実際に考えるとしたら上記2.項と併用になろう。

4.吸気ボタンと排気ボタンで配置を工夫する。
 各社のBCDを見てみると、吸気ボタン、排気ボタンが同じ操作面に付いているものもあれば、そうでないものもある。また、吸気ボタンと排気ボタンの間の距離もまちまちである。これを統一することである程度の効果は見込めるが、とっさの場合には操作面を見ている時間はなく、とにかくインフレーターを手で掴んでそれから吸気ボタンや排気ボタンを探すこともあると思われるので、実際はあまり意味がないかもしれない。
 この他、例えば「体に近い方が吸気、遠い方が排気」といった配置標準化も考えられるが、これもあまり意味がないかもしれない。

5.吸気ボタンと排気ボタンで触覚を変える。
 ヒントになるのはシャンプー容器とリンス容器である。シャンプー容器とリンスの容器は、形は殆ど同じでも、容器側面の凹凸(ぎざぎざ)の有無でどちらか判断出来るようになっている。
 カタログを見ると、この考え方を採用しているメーカーもあるようだ。
 2.項で出てきたボタンの凹凸のように、これも効果的と思われるものの一つである。しかも、ボタンの形は規定しないのでデザイン上の自由度もあまり損なわない。この場合、凹凸(ぎざぎざ)の付け方(どの程度の凹凸にするか、ぎざぎざの間隔はどうするか)を考える必要があろう。


 BCD以外にも、ダイブコンピューターのブザー音も出来れば似たように出来ないか。”ピッ”と音が鳴った場合に、完全に覚えておけばどんな警告か分かるが、そうでない場合はたぐり寄せて表示画面を見ることになる。
 例えば浮上速度警告と減圧停止警告について、各社で音階をなるべく統一するか、それともブザー音の鳴らし方をなるべく統一するか出来ないものだろうか。(ちょうどモールス信号のように)視界不良時などにはある程度有効と思うのだが。
 
=おまけ=
 音に関して、我々の周りにも統一して欲しいものはかなりある。例えば最近の通勤電車には付いているドアの開閉ブザーだが、会社でまちまちである。場合によっては同じ会社内でも一部形式だけ違うものもある。目の不自由な方は混乱しないのだろうか。


 以上、個人的意見であるが、標準化する場合を考えてみた。皆さんは気になるだろうか。

文責:折原 俊哉(会員)

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