地球の潜り方
その31 =DAN-JAPANを読んで気がついたこと=
今年はダイビングフェスティバルが3月に開催された。例年は1月下旬から2月中旬の間だが、開催概要にもあったように、3月に開催されているフォトイメージングエキスポとのタイアップで集客することも考えた。その結果は、公式HPによる入場者数を見ると昨年とほぼ同じである。これだけを見ると、タイアップ効果はさほどでもなかったようだが・・・。
筆者は1日で両方を見たが、おなじことを考える人は他にもいて、両方の登録者カードをぶら下げて歩いている人を何人も見かけた。
それはさておき、ダイビングフェスティバルにはDAN・JAPANがブースを出していて、そこに最新号ではない(大抵は数ヶ月から半年前の)会報が置いてある。(マリンダイビングフェアでも同じ)
今回は2007年8月号が置いてあり、その中の記事のうち”減圧症予防のためのアフターダイブ「高さ」考”と”ダイビング事故を防ぐには”から、いつものダイビングスタイルに反省すべき点はないかどうか振り返ってみた。
1.飛行機は全て同じと仮定して行動
この記事のとおり、どんな飛行機でも飛行中の機内の気圧は地表(海抜ゼロメートル)より低いと考えるべきである。路線や機種により差はあるが、我々が搭乗する路線で高度300メートル以下を飛行するというのはまずないと思われるので、「飛行高度が低いから大丈夫」と筆者は考えたことはない。
以前にあるところで当地のガイドから「ここに来る路線の機材は飛行高度が低いので数時間後に搭乗しても大丈夫だったことがある。」と言われたことがあったので、「それは危ないと思いますよ。」と言い返したのを思い出した。
当コラム「その11 ダイバーに優しい飛行機」では、ボーイング787型機(「その11」執筆当時はまだ”7E7”と呼ばれていた。当初よりプログラムは大幅に遅れていて2008年5月現在で初飛行に至っていない)では客室内気圧が高くなる(機内高度が下がる)ことを説明したが、それでも巡航時で高度約1800メートル相当なので、300メートルに比べれば遥かに高い。
この記事でひとつ気になったのは、「プロペラ機の機内圧力は外気圧と同じ」と書いてあることで、これは正確には誤りである。
この記事のテストケースとなった、調布-伊豆大島便の場合、使用機が非与圧構造なので確かに機内圧力は外気圧と同じだが、全てのプロペラ旅客機が非与圧構造であるわけではないので、誤解を招く恐れがあることを記しておく。
2.西伊豆ダイビング後の移動
御殿場で標高450メートルだったとは・・・。地図を読めば分かることだが、改めて怖さを認識した。筆者は伊豆との往復は殆どが鉄道利用なのでこの心配はない。エビ潜会員の車に同乗したこともあるが、御殿場経由でなく混雑する海沿い経由での移動だったのでこの心配なし。
3.宿泊も要注意
指摘の通り、高いところに宿泊するべきでない。(大地震と津波のことを考えると”ほどほどに高いところ”がよいかも)幸いに今まで「ダイビング後は丘の上から海を臨む○○リゾートに宿泊」といったツアーに出くわしたことはなく、個人手配の場合も海辺に宿泊しているが、宿泊施設の概要に「標高○メートル」とは出ていないから、ひょっとしたら高いところに泊まってしまう可能性は否定できない。今後は注意したいものだ。
今後、東京に今以上に高い超々高層マンションが出来た場合、高層階に住んでいる人は”鉄道利用でもその日のうちに家に帰るのは危険”なんていうことがありえる。ダイバーは高層マンションの高層階に住むべきでない?
(失敗学の畑村洋太郎先生も言っていますが、技術屋というのは大きいもの、高いものをつくりたがるんですよねー。)
4.カメラを持つ前にやることがある
確かに本数をたくさん潜っているからスキルが上ということはない。年間100本潜る人が4年で400本潜るのと、筆者のように年間30本程度で13~14年かけて400本潜る人でスキルが同じはずがない。筆者は両手がふさがるダイビングは怖いので、未だカメラは持っていない。(コンパクトデジカメを現地で借りて潜ってはいるが)ごつい一眼レフ用ハウジングを勧められても断っている。一応安全側なのでセーフか?
この記事で「本数たくさん潜っているとなんかいちばん最後に上がらないといけないみたいなのがある・・・そういう『やりたがり』ってけっこういる・・・」というのがあったが、これは筆者も身に覚えがある事項である。
場合によるが、一緒のグループになった人がライセンス取得直後や数年ぶりのダイビングだというような場合は、筆者もついついやってしまうことがある。
5.些細な器材トラブルで重大事故
「(オクトパスの)性能的にはメインのセカンドと同等でなければいけない。だけどみんなランクが下の安いものをつけてるよね。僕は5万円くらいのをつけるように・・・」との記事であるが、この5万円はメーカー希望小売価格か実売価格かはここでは分からない。
世の中には値段相応の価値を疑いたくなる商品は多々あるが、やっぱり安すぎるのも考えものというわけだ。非常時用なのだから非常時にちゃんと働かないと意味がない。そういう考えであれば、あまりにも安いものは確かに考えものだ。
筆者の現在使っているオクトパスはレギュレータと共に15年以上前に購入したものであるが、少なくとも安すぎるものではない。数年内にレギュレータセットを買い換える可能性があるが、その際はそこそこの値段以上のオクトパスを購入したい。
6.眠さが窒素のバロメーター
この記事では、ダイビング直後の眠気や舌がまわらなくなるのは窒素の影響と出ている。筆者もダイビング後は間違い字が多い。ログ付けをしていて通常ならやらないような誤字がある。これも窒素の関係と見て間違いなさそうだ。
7.安全の基本は初心
これぞ原点!「やめる勇気が大切」とこの記事にもある。やはりこれにまさるものはないだろう。
※写真は本文と関係ありません。
引用文献:DAN・JAPAN会報 Vol.36 (2007.8.30発行)
文責:折原 俊哉(会員)