地球の潜り方
その33 =あおり足は万能の泳法?=
以前にこのコラムでもフィンキックについて取り上げたことがあるが(その10 =フィンキック矯正=)、皆さんは普段どんなフィンキックをしているだろうか。
圧倒的に目立つと思うのは「あおり足泳法」である。
ゆっくり泳ぎたい場合や、砂地で砂を巻き上げたくない場合にあおり足は便利だし効果的である。ダイビング誌でも説明が時々載っているし、一泳法として定着していることは間違いない。
だが、あおり足は万能の泳法だろうか?水泳の解説書によると、あおり足は、水泳の平泳ぎの「よくない形」である。平泳ぎは足の裏で水を蹴るものだが、あおり足は、平泳ぎのキックで足首が伸びてしまっている状態であり、この状態でキックをしようとすると足の甲で水を蹴ってしまいうまく進むことができないというものである。つまり、本来は推進効率の悪い泳ぎ方である。しかしこれが水中と水面の違い、フィンを履いているか履いていないかの違いで、評価が全く異なってくるようだ。
平泳ぎは足をひきつける動作があるため、これが大きな抵抗になるが、あおり足でもそれは基本的に同じはずである。よって、流れがないか、あっても弱いところであれば、あまり気にならないと思うが、流れが強いところではこの抵抗は効いてくるはずだ。流れが強い場合はあおり足でなく普通の(バタ足型の)フィンキックの方が良いと思うのだが、流れが強い場合でもあおり足で泳ぐ方がかなり多いように思う。
比較的最近のことであるが、筆者があるところで当地のガイドダイバー(日本人男性)と2名で潜っていたところ、強い流れにつかまった。筆者は普通のフィンキックで泳いだが、ガイド氏はあおり足泳法で泳いでいて、随分とバタバタしていた(ように見えた)。普段からこの泳法であろうから、実際は焦りも何もしていなかったとは思うが。
どんな泳法にも長所と短所があるので、状況に応じた使い分けを心がけたいと思う。
ちなみに筆者はあおり足泳法は出来ない。何故出来ないかというと、不器用であることと、子供の時に水泳教室で徹底的にあおり足を直されたからである。(「あおり足が出来ないからこのコラムを書いたんだろ!」と言われると弱い。)
では、筆者はゆっくり泳ぐ場合にあおり足が出来ないかわりにどんな泳法を使っているかというと、殆ど足首のスナップだけを用いたフィンキックである。両足をそろえて足首から先だけでチョンチョンとキックをするのである。中性浮力がとれていれば、砂地のところでも砂の巻上げはかなり抑えられると思う。
出典:「スイミングストリート」ホームページ内「水泳豆知識辞典」
文責:折原 俊哉(会員)