地球の潜り方
その37 =装備の差は何処に出るのか=
年々進化するダイビング機材であるが、その差は実際のダイビングの場面で何処に表れるだろうか。
今回はスーツ、レギュレータ、フィン、ダイブコンピュータの進歩について見てみたい。
1.スーツ
ここではウェットスーツを取り上げる。
以前のゴワゴワしたスーツは今は昔。今のスーツは着るのも脱ぐのも楽になったし、保温素材の進歩で裏起毛の暖かいスーツを着る人が結構多い。筆者もその1人である。ただ、「昔の5mmスーツの保温性を今は3mmで達成!」かどうかは筆者分からない。(カタログを見てもそれらしきことはあまり書いていないように思う。)もしご存知の方がおられれば御教示をお願いしたい。
2.レギュレータ
呼吸抵抗は随分と改良されているようで、カタログを見てもこの手の説明はよく出ている。しばらく前から呼吸抵抗をある程度自分で調節できるつまみがセカンドステージに付いているものもある。水中環境はいつ急変するか分からないので、そのための安全マージンとして、どんな状況でもより安定した呼吸が出来るレギュレータは必要だ。
但し、通常のレジャーダイビングの範囲内で、厳しい条件(例えば流れに逆らっての長時間のフィンキック移動など)でなければあまり関係ないかもしれないとも思うのだがどうであろうか。
また、水中で首を振ったりしても抵抗にならないようにセカンドステージ部付近にジョイントを追加したものもある。可動部が増えるので単純に考えると故障しやすくなるが、そこはメーカーも考えているようで、これに起因する故障は筆者の知る限りでは聞いたことはない。筆者がレギュレータを買い換える際には購入を考えたい。
3.フィン
同じ力でキックするのであれば、より進める(速く泳げる)のがよいフィンの条件の一つであることは間違いないだろう。筆者はダイビングを始めた当初のフィンをまだ使っているが、先割れフィン(バイオフィン)を履いた還暦オーバーの当会会員に水面移動でゴボウ抜きにされたことがある。この時にダイビング機材の進化の一端をはっきりと意識した。
(えっ?それはあなたの脚力が無いだけだって?それは言わないでください!)
ただ、レジャーダイビングはスピード競技ではないし、ひたすら速く泳げるフィンがいいフィンとは言い切れないだろう。筆者が使っている超旧式フィンをいいフィンと言う人も多い。どんなダイビングをするかで評価が違ってくるようだ。バイオフィンに代表される先割れフィンをキックした際のすっぽ抜け感がいやだと言う声も結構聞く。また、筆者のようにあおり足泳法が出来ない人(拙著その33「あおり足は万能の泳法」参照)には向かないフィンもある筈である。最終的には使う人の目的や技術による部分もあるだろう。
自分のダイビングスタイルと、そのフィンの意図するところ(どんな用途向けか)が一致するかどうか、よく確認するべきのようである。
4.ダイブコンピュータ
以前と比べれば大変な機能の充実ぶりである。時計として使えるのは当たり前で、平均水深や平均水温を記録するのも当たり前である。これ一つでログブックの情報はほぼ満足できるし、新機種が出るとアルゴリズムも少しずつ改良されていくであろうから、安全性も大幅に向上している筈だ。筆者が使っている超旧式ダイブコンピュータは今となっては何処へ行っても「最も危険なダイブコンピュータ」である。
しかし、残念なことにダイブコンピュータが普及してから減圧症に罹患するダイバーの数は増えたようである。ダイブテーブルを利用した手計算では不可能なことを瞬時に行って、これまで「無駄にしていた領域・時間」を有効に使えるようになったのだから、ダイブコンピュータの許容限度一杯で潜るのは危険な筈だが、ダイブコンピュータが発する警告表示を「狼少年」視している部分はないだろうか?
=おまけ:ダイバーも歯が命?=
今春もダイビングフェスティバルとマリンダイビングフェアでDAN JAPANがブースを出していた。いつものように、最新号ではない会報が置いてあったのであるが、読んでみたらダイビングと歯科疾患の関係の記事があり、その中に「歯周病は出来るだけ早く歯科医師に相談を」とのくだりがあった。
確かに、歯がぐらぐらしている状態でギュッとマウスピースを噛んだら、急速に症状が悪化するだろう。これを少しでも抑えるためにはマウスピースを強く噛みすぎないことだが、これはマウスピースの形状はもとより、レギュレータの重量や構造にも関係する部分があるだろう。
筆者は以前より半年に1回、特に症状が無くても歯科医に行くが、ここでの経験を一つ紹介すると、歯ブラシの硬さは硬いほどよいということはないようである。筆者の場合、「固め」から「普通」に変更したところ、歯茎や歯の状態(歯垢の付き具合や歯茎の炎症の度合い)に改善が見られた。これは歯ブラシの使用方法にもよるが、歯ブラシは硬くないほうが「しなり効果」が期待できるようで、硬いブラシでは届きにくい部分まで届くのだそうだ。
かなり以前に「芸能人は歯が命」というコマーシャル(確か東幹久と高岡早紀が出演していたと思う)があったが、ダイバーも「歯が命」の部分はあるようだ。
※写真と本文は関係ありません。
引用文献:DAN JAPAN会報「Alert Diver」 vol. 41 及びvol. 42
文責:折原 俊哉(会員)