地球の潜り方
その71 器材はどこまで使い込むか?
新型肺炎感染者は減少し(2021年10月現在)、そろそろダイビングも再開しようかなあというところ、皆さんはダイビング器材を何処まで使い込むだろうか?
ある程度傷みが来たら買い替える、性能が見劣りするようになったら買い替える、使用不能になるまでとことん使う、色々だろう。今回は、一部の器材についてどこまで使い込めるか少し考えてみたい。
1.ウェットスーツ
生地が硬いか柔らかいかにもよるが、スーツ内の気泡がつぶれだんだん薄くなってくると共に、あちらこちらと擦り切れが目立ってくる。
筆者が20年以上前に購入した3mmウェットスーツは、その当時では非常に柔らかい素材のスーツだったが、数年で肩の部分が薄くなり、最終的には多分厚さ2mmを切ったのではないかと思う。そうこうしているうちに、袖口等々あちらこちらと傷みが目立ってきたので、着始めてから5年ほどで買い替えた。
これ以上長く着ていると、ある日突然着脱時にビリビリと裂けることになっていただろう。ただ、裂けても水中で寒いと感じなければ着続けることはできる。あまりにボロボロはみっともないが、そうでない限りは問題小とすべきか。
2.レギュレータ
命を預ける一番大事な器材であるので、具合が悪いのに使い続けるという人はいないだろう。
筆者がダイビングを始めたときに購入したのはマレス製MR-12シリーズだった。購入後に販売体制の変更によるワランティカード失効があったが、それでもオーバーホールは可能だった。20年近く使用し、内部にかなり傷みがでてきていたところ、コンソールゲージが破損したので、器材軽量化のため買い替えた。(器材軽量化の理由は拙著その40「大型荷物(新編)」参照)
何の問題がなくても、交換部品の生産終了でオーバーホール不可になってしまったという方も結構多いのではないかと思う。部品が生産終了になり在庫もなくなったら買い替えである。
3.ダイブコンピュータ
ダイビングの必需品」になって久しい。これは電気製品であるので、電気的故障を起こして修理不可なら買い替えになる。故障しない限り、交換電池があれば使い続けることが出来るが、ここで考えたいのは内臓しているアルゴリズムである。
あまりに古い機種はアルゴリズムが古く、最新の基準では危険なダイビングをしているのにそれが認識できない、ということになる可能性もある。(関連記事として拙著その37「装備の差は何処に出るのか」参照)
筆者の場合、ダイビング開始当初に購入したものを18年使用し、交換電池の入手が難しくなったところで買い替えた。買い替え時に新旧ダイブコンピュータ両方を持って潜ったが、残留窒素排出時間が双方で大きく異なった。これがアルゴリズムの差である。
現コンピュータも使用開始から約10年がたつ。電池は汎用ボタン電池なのでまずなくなる心配はない。少し調べると、現在でも中古品で3~4万円程度の値段が付いていることもあり、評判がよいようだ。この先まだまだ使えそうである。
4.BC
いきなり破けて空気が入らなくなったらそれで終わりだが、そうでなくても、経年により徐々に空気が漏れやすくなる。空気漏れの判定は、空気を入れて長時間(例えば1晩)置いたらどのくらい萎むかでの判定のようなので、ダイビング時にはなかなか気が付かないようだ。
筆者の場合、オーバーホール時に「漏れが出てきていますよ。でもまだ実用上は問題ないでしょう。」と言われてから数年使った。そうこうしているうちに、インフレータがオーバーホール不可能の状態になったので買い替えた。使用期間は約18年だった。もちろん外観は紫外線焼けでかなり変色したが、擦り切れなどが目立つ状態ではなかった。インフレータだけ取り替えて使用を継続することも考えたが、上記2.でも挙げた器材軽量化のために買い替えた。
各器材メーカーの部品生産・在庫確保の方針にも左右されるが、丁寧に使えば「一生モノ」もあるダイビング器材、バーゲン品を比較的頻繁に買い替えるのも一つの方法ではあるが、”貫禄”が出るまで使うのもいいものである。
文責:折原俊哉(会員)