地球の潜り方

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その57 大型荷物-新編3:宅配便伝票での品名記述

これまでこのコラムでは大型荷物のことを何度も取り上げたが、今回も取り上げたい。今回のテーマは宅配便である。

ダイビング器材を宅配便であらかじめ旅行先に送る人、旅行先から自宅へ送る人は多いだろう。筆者もその1人である。

 

暫く前、バッテリーや高圧容器の運送に制限が付き、伝票での品名記載で「バッテリーなし」「高圧容器なし」を書くようになった。

しかし、先日、自宅近くのローソンから沖縄県内宛にダイビング器材をゆうパックで送ったところ、集荷した郵便局から「もっと具体的に書かないと航空機で輸送できませんので、品名を教えてください」と電話があり、その場で「衣類、ウェットスーツ、レギュレータ・・・」と品名を伝えたのであった。

ゆうパック伝票の品名記載(少なくとも昨秋までは問題ない記述だった)

ゆうパック伝票の品名記載(少なくとも昨秋までは問題ない記述だった)

 

一体どんな事情だろうと、沖縄入りした後、近くの某簡易郵便局で事情を尋ねると、以下の話であった。

 

  • ・欧米でのテロの影響とのこと。
  • ・2016年初めか、もう少し前から厳しくなった。
  • ・「ダイビング器材」といったまとめた書き方はだめ。
  • ・「タンク無」「バッテリー無」「アルコール類無」等々を書くことも必要。
  • ・ウェットティッシュも入れられない。(アルコールが蒸発し引火の恐れがあるから)

 

「ダイビング用品」と書くと「タンクが含まれている可能性あり」と解釈されるようである。ダイビング器材に限らず、他の物でも同様のようで、「玩具」「カメラ器材」と書いては航空機に載せられない、と集荷する郵便局から指導があったそうである。とにかく「まとめた書き方」ではいけないようだ。

そこで、何か資料になるものは頂けないかとお願いしたところ、接客窓口向けの文書のコピーを頂いた。

郵便・接客窓口文書(コピー)

郵便・接客窓口向け文書(コピー)

郵便・接客窓口文書(下部拡大)

郵便・接客窓口向け文書(下部拡大)

 

その後、郵便局のHPを見たら、以下のとおりであった。

航空機での輸送が制限されている危険物を内容とする荷物を、誤って航空機に搭載することを防ぐため、次のゆうパックは、内容品にかかわらず航空便への積載ができません。

1.宛名ラベルの品名欄に「品名記載のない」又は「具体的な品名が記載されていない」(品名から安全性が確認できない)ゆうパック

2.「航空輸送できない危険物を内容とする」ゆうパック

その際は、一律他の輸送手段により運送させていただくことから、配達に要する期間が1日~4日程度遅れることとなりますので、具体的な品名を宛名ラベルの品名欄に記載していただきますようご協力願います。

記載例
×日用品 → ○衣服、筆記用具
×雑貨 → ○食器、ぬいぐるみ
×小物類 → ○財布、アクセサリー、CD
×スポーツ用品 → ○ラケット、ボール
×キャンプ用品 → ○テント、シェラフ、ターブ
×ダイビング用品 → ○ウェットスーツ、シュノーケル、水中眼鏡
×医薬品 → ○カゼ薬、胃腸薬、飲み薬
×化粧品 → ○石鹸、薬用クリーム
×自動車(オートバイ用品) → ○シートカバー、ミラー、シフトノブ

上記は日本郵便HP(http://www.post.japanpost.jp/question/24.html)より転載。

この他に聞いたことでは、ダイビング器材では「BCD」を書いたら「もっと具体的に」と言われた例があったそうである。(救命用のガスインフレータ付きと思ったのか?)

また、写真関係では「三脚」と書いたら「もっと具体的に」と言われた例もあったとのこと。(水準器付きの場合の液体を気にしているのか?)

場合によっては、メーカ名と商品名称を書いたり、といった例もあったそうで、本土から沖縄に送るよりも沖縄から本土へ送る方が難しい(品名確認が厳しい)という話も伺った。郵便局担当者による判断のばらつきもあるようだ。

 

郵便局以外はどうかと思い、念のためヤマト運輸のHPも見てみた。(http://www.kuronekoyamato.co.jp/takkyubin/takkyu.html)

その結果、「雑貨・日用品・商品記号などでは内容物の特定ができず、配送ができなかったり遅延を及ぼす場合がありますので、具体的な品名の記入にご協力ください。」との記載があった。
なお、航空輸送できない品目は、http://www.kuronekoyamato.co.jp/koukuutousai/index.html に載っていた。

 

一体この先どこまで詳しく書くことになるのだろうか?そのうちに郵便局員や運送会社社員が立ち会って中身を一度確認しないとダメ、実質コンビニでの取り扱いは不可、なんてことになるのではないかと心配だ。

 

運用が安定しトラブルが減少することに期待するが、もっと周知を念入りに行ってはどうか。ダイビングを含め、業界団体にはどの程度協力を依頼したのだろうか。もしあまり行っていないのであれば、今からでも行って頂きたい。

 

ただ、世の中が物騒になったことも原因。世の中が物騒になるのも御免である。

 

文責:折原 俊哉(恵比寿潜酔会・懇親会幹事)

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