地球の潜り方

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その61 続・ダイビングの目的地は秘境?それとも観光地?

拙著その35「ダイビングの目的地は秘境?それとも観光地?」で、交通需要の減少で航空便が廃止され、以前より”秘境化”するかもしれない場所が出てきていることに触れた。

 

拙著その35執筆時(2009年)に廃止された成田-ナンディ線であるが、今年(2018年)7月に運行が再開される。

これで、「日本人にはちょっと秘境になったかな」から脱するのかもしれない。

その一方で、日本人にとって一番近い南国リゾートである北マリアナ諸島は、今年5月初旬にデルタ航空の成田-サイパン線が廃止※)され、日本からの直行便がなくなってしまった。

これに加え、5月でユナイテッド航空のグアム-ロタ-サイパン線(プロペラ機運行)が廃止、6月からグアム-サイパン線は朝1往復のみである。まるで「マリアナ切り」のようだ。(この他、デルタ航空は成田-パラオ線も廃止)

 

これでは「一番近い南国リゾート」がダイバーにとって「近くて遠いリゾート」になるのだろうか。ただし、この一方で、今年冬に某社が成田-サイパン線、あるいは羽田-サイパン線を開設するとの話がちらほら出ているので、「日本人から見て秘境」にはならずに済むのかもしれない。

ただ、秘境になったらなったで、そこにあるものが好きだから行くという人が中心になる訳で、サイパンであれば、サイパンの海が好きだから行くということになる。かつてのように「海外旅行デビューの場所」として、とりあえず行くというところではなくなる訳だ。

世の中全体は便利になってきているので、拙著その35当時と比較すると、秘境は確実に減っていると思う。しかし、便利になれば次に起きるのは悲しいかな環境破壊である。(その35でも、小笠原の環境破壊を取り上げた。)最近では、フィリピン政府はボラカイ島を半年ほど閉鎖し、その間に排水処理設備等々を整備しなおすという。※※)

「街も自然も楽しめるリゾート」として存続できるところは一部だけではないかと思う。それ以外は観光開発以前の雰囲気、言ってみれば「秘境感」が各所に多少は残っていないと、その土地の魅力にならないのではないか、と思う。

 

 

勝手な言い方をすれば、「海の中は秘境、陸上は整備された街」が最もよい、ということになるのかもしれないが、果たしてこれはどの程度両立できるのか・・・???

人間とは我が儘である・・・。

※報道では「運休」のようだが、ここでは「廃止」と記載する。
※※)この一方で、中華系のカジノか何かが出来るとの噂があるらしい。

注:写真と本文は関係ありません。

文責:折原 俊哉(恵比寿潜酔会・懇親会系幹事)

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